オーク(ナラ)無垢フローリングは汚れ・傷に強い?しょうゆ30分放置&ドライバー落下で実験

フローリング・木材の実験

フローリングのカタログには「耐汚染性◎」のような記号が並んでいます。

でも、あの◎が実際にどの程度なのか、写真や数字で見せてくれるメーカーはほとんどありません。

私は数年前に自宅(注文住宅)を建てました。

そのとき床材選びで、最後の最後まで悩みました。

ショールームで「お子さんがいるならウレタン塗装が安心ですよ」と言われても、どのくらい安心なのかは誰も教えてくれないんですよね。

というわけで、実際にやってみました。

オーク(ナラ)のフローリング材にしょうゆとケチャップを垂らして30分放置。

その後、プラスドライバーを30cmの高さから落とします。

材料は個人的に取り寄せたサンプルや、自腹で買ったものも含まれます。

メーカーには何の義理もないので、遠慮なく汚します。

実験に使った材と条件

塗装 入手
オーク無垢フローリング 無塗装 建材通販のサンプル材
オーク無垢フローリング ウレタン塗装 同上
オーク複合フローリング ウレタン塗装 同上

条件は全記事で共通にしています。

ほかの樹種(じゅしゅ)の記事と横並びで比べられるようにするためです。

  • しょうゆ・ケチャップを直径3cmほど垂らして30分放置。その後、乾いた布で拭き取り
  • プラスドライバー(約60g)を30cmの高さから柄を下にして垂直に自由落下
無塗装のオーク無垢材にしょうゆとケチャップを垂らして30分放置スタート
無塗装のオーク無垢材にしょうゆとケチャップを垂らして30分放置スタート

「30分も放置しないよ」と思うかもしれません。

でも、こぼれた瞬間に気づかないことは普通にあります。

わが家でしょうゆがこぼれるのは、だいたい手巻き寿司か餃子の日です。

小皿をテーブルの端に置く。子供の肘が当たる。床へ。

この流れはもはや様式美で、しかも食事中は会話に気を取られているので、発見はたいてい食後の片付けのとき

つまり30分放置は、実験のための極端な設定ではなく、わりと現実的な数字なんです。

ひとつ予備知識を。

今回の主役のオークは「環孔材(かんこうざい)」と呼ばれるタイプの広葉樹です。

年輪に沿って太い導管(どうかん。水や養分の通り道だった管)が並んでいるため、あのはっきりした美しい木目が出ます。

ただし、この導管は液体の染み込み口にもなります。

つまりあの美しい木目をつくっている構造が、無塗装では弱点にもなるわけです。実験前から、ある程度の予想はできます。

しょうゆを30分放置した結果

無塗装材の拭き取り後。左のしょうゆはくっきり、右のケチャップはうっすら残った
無塗装材の拭き取り後。左のしょうゆはくっきり、右のケチャップはうっすら残った

ウレタン塗装の2枚(無垢・複合とも)は、拭けば元通りでした。

ウレタン塗装は「造膜型(ぞうまくがた)」、つまり表面に樹脂の膜をつくるタイプの塗装です(塗装タイプの違いは無塗装・オイル・ウレタンの比較記事にまとめました)。

しょうゆは膜の上に乗っているだけなので、当然といえば当然の結果です。

問題は無塗装。

拭いた瞬間にわかります。

布がしょうゆを吸うより先に、木がしょうゆを吸ってしまっている。

表面をいくら拭いても、輪郭のはっきりしたシミが残りました。

しょうゆは粘度(ねばり気)が低いぶん、導管に染み込むのが速い。

正直、30分どころか数分で勝負がついていたと思います。

ケチャップは意外と怖くない

ウレタン塗装材の拭き取り後。しょうゆもケチャップも跡形なし
ウレタン塗装材の拭き取り後。しょうゆもケチャップも跡形なし

色の濃さからケチャップの方が凶悪に見えますが、結果は逆でした。

今回の試験では、無塗装材でも、ケチャップはしょうゆほどの深いシミになりませんでした。

粘度が高いぶん木の内部へ入り込みにくかったことが、理由のひとつと考えられます。

ウレタン塗装組は言うまでもなく無傷です。

オムライスの日は、実はそれほど恐れなくていい。

恐れるべきは手巻き寿司の日です。

台所で本当に恐れるべきは、色の濃い液体より「サラサラした液体」です。しょうゆは今回実証済み。コーヒーや赤ワインも(未検証ながら)同じ警戒リストに入れています。

ドライバーを30cmから落とした結果

傷実験の道具はこのプラスドライバー。30cmの高さから柄を下にして落とす
傷実験の道具はこのプラスドライバー。30cmの高さから柄を下にして落とす

オークは、日本で「ナラ」と呼ばれる木と同じブナ科コナラ属の仲間です。

ウイスキーの樽に使われるくらい硬い木で、木材の硬さの指標(ブリネル硬さなど)でも広葉樹の中で上位に入ります。

無塗装材の落下地点。中央にうっすら凹みがある程度
無塗装材の落下地点。中央にうっすら凹みがある程度

30cmからのドライバー落下では、無垢材にうっすら凹みがつく程度。

パイン(赤松)で同じことをしたときのような「爪が引っかかる凹み」にはなりませんでした。

複合ウレタン塗装品に至ってはほぼ無傷です。

複合ウレタン塗装材の落下地点。目立つ傷は見当たらない
複合ウレタン塗装材の落下地点。目立つ傷は見当たらない

ところで、この実験で見たいのは刃物のような「尖った物の傷」ではなく、ある程度重さのある硬い物を落としたときの凹み(打痕)です。なので柄を下にして落としています。

日常で床に落ちるものを思い出してみてください。

テレビのリモコン(軽いくせに角が硬い)、マグカップ、スマホ、缶詰、そして子供のミニカーや積み木。

30cmというのは、ソファの肘掛けやローテーブルからポロッと落ちる高さです。

ダイニングテーブル(高さ約70cm)からマグカップが落ちれば、床が受け取るエネルギーは倍以上。

打痕リスクの最前線は工具箱の前ではなく、リモコンとマグカップが行き交うローテーブルの周りなんですね。

うちの子のミニカーブームの時期は、それはもう床への絨毯爆撃でした。

あれを無塗装のパイン材の上でやられていたらと思うと、いまだに背筋が寒くなります。

ちなみに、椅子を引きずってつく傷は打痕ではなく擦り傷(すりきず)で、これは別物。

脚の裏にフェルトを貼るだけでかなり防げるので、対策のしやすさでいえば擦り傷の方がずっと御しやすいです。

昔、犬を飼っていたことがあります。

当時住んでいた家の柔らかいパインの床は爪痕だらけになりました。ペットと暮らすならナラくらいの硬さが欲しい、というのが実感です。

ただし注意点がひとつ。

無垢材は塗装があっても、打痕(だこん。物をぶつけてできる凹み)そのものは防げません。

塗膜が守ってくれるのは「汚れ」であって、「衝撃」ではない。ここを混同すると床選びで失敗します。

無塗装の床を張っていい部屋、やめておく部屋

実験結果を「しょうゆとケチャップの話」で終わらせるのはもったいないので、少し横道へ。

しょうゆでこれだけ染みた以上、コーヒー、紅茶、赤ワイン、麦茶あたりのサラサラした液体も当然警戒対象です。

成分(色素や酸・糖分)が違うので同じ結果になるとは限りませんが、少なくとも「うちは和食が少ないから大丈夫」と安心できる材料はどこにもありません

コーヒーの30分放置は、近いうちに同じ条件で実験する予定です。

そう考えると、無塗装の床を張れるかどうかは「何をこぼすか」ではなく、「どの部屋に張るか」の問題になってきます。

部屋 液体リスク 打痕リスク 無塗装の判定
キッチン 油・水・調味料が毎日 缶詰・鍋の落下 ✕ 塗装品かタイルで
ダイニング 食事のたびに発生 カトラリー落下 ✕〜△ 塗装品が無難
リビング コーヒー次第 リモコン・おもちゃ △ ラグで守れるならあり
寝室・書斎 ほぼ無し ほぼ無し ○ 一番安心して楽しめる

リビングが「△」なのは、ソファでコーヒーを飲む習慣があるかどうかで変わるからです。

飲む人はローテーブルの下にラグを一枚。それだけで液体と打痕の両方をかなり防げます。

同じ家の中で部屋ごとに床を張り分けるのは、設計やリフォームの現場では普通にやる手です。

「全部屋同じ床にしないと気が済まない病」(私もかかっていました)の人ほど、一度検討する価値があります。

寝室だけ無塗装のオーク、というのはかなり贅沢で、かなり現実的な落としどころです。

いちばん過酷なキッチンの床はタイルとフローリングの比較記事で深掘りしています。

結果のまとめと選び方

無垢・無塗装 無垢・ウレタン 複合・ウレタン
しょうゆ30分 ✕ シミ残る ○ 完全に落ちる ○ 完全に落ちる
ケチャップ30分 △ うっすら
ドライバー落下 △ 浅い凹み △ 浅い凹み ○ ほぼ無傷

耐久性だけで選ぶなら、複合(基材の上に挽板〈ひきいた〉や突板〈つきいた〉などの化粧材を貼ったフローリング)のウレタン塗装が優勝です。

ただ、それなら話は簡単なんですが、無塗装のオークの手触りを知ってしまうと、そう割り切れないのが悩ましいところで。

塗膜のツルッとした感触と、木そのものに触れているサラッとした感触は、比べると別物です。

ショールーム巡りでさんざん床を踏み比べてきた私の結論は、こうです。

  • 小さい子どもや犬猫がいる家の床 → 塗装品(無垢のウレタンか複合)。シミは事故で起きるので、確率を下げるより被害をゼロにする方が精神衛生にいい
  • 床を無塗装にするなら → こぼしたら「30分以内」ではなく「その場で」拭く覚悟とセットで。もしくは飲食しない部屋に張る
  • 無塗装の質感をあきらめたくない人 → 床は塗装品にして、無垢の質感はテーブルや棚などの家具側で楽しむのが現実解。家具なら面積が小さいぶん手入れも行き届きます

実際、わが家も床は塗装品にして、ダイニングテーブルを無垢(オイル仕上げ)にしました。

毎日手が触れるのは床より天板なので、満足度はむしろ高いです。

ついてしまったシミは、削れば消せる

無塗装材の名誉のために書いておくと、表面に塗膜がないということは、削れば新品の面が出てくるということでもあります。

実験でつけたしょうゆのシミも、サンディング(サンドペーパーでの研磨)でほぼ消えました。

番手(ばんて。ペーパーの目の粗さで、数字が大きいほど細かい)は240〜320番あたりが使いやすいです。

いきなり広範囲を削らず、目立たない場所で色味が周囲と馴染むか確認してからどうぞ。

一方、ウレタン塗装品は、無塗装材のように気軽に削って直すことができません。

傷み方や製品によっては部分補修や再塗装ができる場合もありますが、DIYでは難しく、専門業者に頼むケースが多くなります。

「日常の汚れに強い塗装品」と「汚れには弱いが、削って何度でも手入れできる無塗装」。どちらの思想を取るかという話でもあります。

同じ条件で檜(ひのき)パインも試しました。

針葉樹(スギやマツの仲間。広葉樹より軽くて柔らかい木が多い)がナラとどう違うか、読み比べてみてください。オークと檜の直接対決の記事もあります。

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